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静岡県内2社が分収造林契約 浜松・細江の国有林 林野庁と連携 林業経営 新モデルへ

 林野庁関東森林管理局と木材関連問屋のエス・エルワールド(静岡市清水区)、静鉄ホームズ(焼津市)の3者はこのほど、浜松市浜名区細江町の国有林での分収造林契約を結んだ。民間2社が国有林を借りて造林し、伐採後の収益を国と分け合う。スギ・ヒノキに比べ生育が早い樹種のテーダマツを植栽し、新たな商材確保につなげる。

分収造林契約された国有林=浜松市浜名区細江町
分収造林契約された国有林=浜松市浜名区細江町

 一般的な分収造林契約は50~80年の契約期間で、樹種はスギ・ヒノキが主流だが、今回の契約は40年に設定。2・6ヘクタールを造林し、伐採まで管理する。国有林の分収造林契約では、参入者は土地を所有することなく林業生産ができ、国も管理コストをかけずに収益化できる利点がある。契約林を管轄する天竜森林管理署によると、テーダマツを植栽する分収造林契約は全国的にも珍しいという。
 テーダマツは、スギ・ヒノキと同等の強度があり、約30年で主伐期を迎える。昨年度から、合板メーカーが県や静岡大と実用化に向けた共同研究を始めるなど、近年は合板材として製品化が進んでいる。
 契約林の木材はエス・エルワールドが加工し、静鉄ホームズへ建材として提供する計画。エス・エルワールドの高橋秀幸生産部長は「円安などによる外材価格高騰の対策として、新たな商材確保は急務。その意味でテーダマツは将来性のある樹種で、期待している」と語る。伐採までの期間は、契約林を社員教育やCSR(企業の社会的責任)活動の場としても活用するという。
 5月上旬に3者による記念植樹を行い、本格的な造林に着手する。さらに林野庁は分収造林の取り組み拡大を図るため、17日から同管理所管内の2カ所で新規分収造林契約者の公募を始めた。同管理署の担当者は「植樹から伐採までのサイクルが短い樹種のため、収益化も早い。官民連携の林業経営の新たなモデルになれば」と期待を寄せる。
 (経済部・垣内健吾)

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