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大型車後付け部品開発 磐田の兼子鉄工所、第1弾はトラック専用ステップ 経営安定化へ技術生かす

 輸送機器部品製造の兼子鉄工所(磐田市、兼子達治社長)は、独自の大型車両向けアフターパーツ(後付け部品)の開発に乗り出している。第1弾として、トラックの荷台に安全に昇り降りするためのステップを製品化した。下請けの仕事で培った金属加工技術を生かした新事業として自社製品の製造販売を展開し、経営・雇用の安定化につなげる。

兼子鉄工所が自社製品第1弾として開発したトラックの荷台昇降用ステップ=磐田市
兼子鉄工所が自社製品第1弾として開発したトラックの荷台昇降用ステップ=磐田市


 同社は四輪・二輪車、船外機向けのさまざまな部品製造を手がけている。ただ、こうした下請けの取引は景気に左右されやすく不安定なのが経営課題だった。兼子社長は「下請けは完全に受け身。受注が減ったからと言って従業員をくびにできない。仕事量を平準化するために自社製品を作りたかった」と話す。
 初の自社製品「ステップマッシュ」は、荷台がウイング型のトラック向け。片足を乗せられるほどのコンパクトなつくりで、荷台側面のあおりに付いている荷物固定用レールに取り付け、踏み台代わりにする。アルミ製で、得意とする切削加工技術を活用してほぼ全ての部分を自社加工し、製品の質感や脱着の際の触感にこだわった。
 ステップの開発は数年前から続けていたが、労働安全衛生規則改正で昨年10月から最大積載量2トン以上のトラックに荷台昇降設備の設置が義務づけられたことが製品化の追い風になった。
 価格は1台3万9600円。自社のオンラインストアで販売しているほか、運送会社などへの営業活動で販路開拓を図る。月100台の販売を目指す。兼子社長は「今後も作業の安全に貢献する製品の開発を検討していく」と意欲を示している。
 (磐田支局・八木敬介)

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