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セブン&アイ、ヨーカ堂を分離へ 27年度以降の上場表明

 セブン&アイ・ホールディングスは10日、子会社のスーパー大手イトーヨーカ堂を中核とする祖業のスーパー事業を分離し、2027年度以降に株式を新規に上場させる方針を発表した。外部資本を活用することで、スーパー事業の再成長を図る。セブン―イレブンを展開する主力のコンビニ事業に経営資源を集中する。

セブン&アイ・ホールディングスの決算説明会の冒頭であいさつする井阪隆一社長=10日午後、東京都中央区
セブン&アイ・ホールディングスの決算説明会の冒頭であいさつする井阪隆一社長=10日午後、東京都中央区
セブン&アイ・ホールディングスの決算説明会の冒頭であいさつする井阪隆一社長=10日午後、東京都中央区

 セブン&アイの井阪隆一社長が東京都内で記者会見し、上場に向け経営不振のイトーヨーカ堂や、東北地盤のヨークベニマルなどのスーパー事業を担う中間持ち株会社を設立する考えを示した。「現実的に最速のタイミングで検討を開始する」と述べた上で「(イトーヨーカ堂が)自分たちで成長のための投資ができる形態がふさわしいという結論に至った」と説明した。
 上場後もセブン&アイは中間持ち株会社の一定の株式を保有し、持ち分は今後検討する。井阪氏はセブン&アイの子会社にするかどうかは「こだわらない」と語った。食品の開発で協力関係を継続する。
 今回の発表の背景には「物言う株主」の米投資ファンド、バリューアクト・キャピタルがコンビニ事業への集中を再三要求していたことがある。23年の定時株主総会では対応が不十分として、井阪氏に退任を迫った。
 セブン&アイは24年2月期の連結決算も10日発表し、売上高に当たる営業収益は前期比2・9%減の11兆4717億円、純利益は20・1%減となる2246億円の減収減益だった。
 スーパー事業ではイトーヨーカ堂の24年2月期の純損失が259億円と4期連続の赤字となった一方、ヨークベニマルは黒字を維持している。井阪氏は中間持ち株会社の設立で「スーパー同士で一緒になればかなり高い相乗効果が見込める」と話した。
 また、セブン&アイでスーパー事業を担当する創業家の伊藤順朗専務執行役員が5月28日付で副社長に昇格する人事を発表した。

 セブン&アイ・ホールディングス 世界各国で営業するコンビニ「セブン―イレブン」を軸とする小売り最大手。雑貨店の「ロフト」やファミリーレストランの「デニーズ」、ベビー用品店「アカチャンホンポ」も手がける。かつては百貨店の「そごう・西武」も傘下だった。2023年時点で20カ国・地域に約8万5千店舗を展開。従業員は約16万7千人。

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