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熱海土石流「落ち残り盛り土」1万立方メートル存在か 静岡県、公表せず

 熱海市伊豆山の大規模土石流で、崩落した盛り土の起点付近で崩れずに残っている盛り土が、静岡県が公表した約2万立方メートルとは別に少なくとも約1万立方メートルあり、県も存在を把握していることが29日までに県などへの取材で分かった。県は、この1万立方メートルの盛り土について、神奈川県小田原市の不動産管理会社が盛り土の造成を届け出た範囲外になっていることなどを理由に公表しておらず、撤去の対象にも含めていない。

崩れず残っているとみられる盛り土
崩れず残っているとみられる盛り土

 県によると、崩れずに残っていながら公表されていない盛り土は起点の北西側に約7700立方メートル、北東側に約2700立方メートルの2カ所あるとみられる。航空写真やレーザー測量技術を活用し、1960年代からの標高の変遷を調べ推定した。
 北西側の盛り土については、地下水の影響が限定的で、崩落の可能性は低いと判断した。一方、北東側は調査していない。仮に崩落しても約4千立方メートルの容量がある下流の砂防堰堤で受け止めることができ、それより下流で被害が発生する可能性は低いとしている。
 約2万立方メートルの盛り土について、難波喬司副知事は3月末、起点周辺に計4カ所あり、いずれも降雨で崩落する可能性が高いと説明。台風シーズンが過ぎた10月以降に撤去する考えを示した。今月28日には排水対策も開始した。
 熱海市議会調査特別委員会(百条委員会)の参考人で、2万立方メートル以外の盛り土の存在を県に指摘した土木設計エンジニアの清水浩氏(53)は「届け出の範囲か否かを問わず、調査して県民にしっかり説明すべき」と指摘する。県砂防課の杉本敏彦課長は「未調査の盛り土については安全性を確認したい」としている。

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