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熱海土石流 盛り土に水通す隙間四層発見 崩落何度も誘発か 静大教授分析

 熱海市伊豆山で昨年7月に発生した大規模土石流の発生原因を調べている静岡大の北村晃寿教授(古生物学)が16日、土石流起点付近に残った土砂のボーリング調査の分析で、水を通す隙間になる四つの層が見つかったと発表した。崩落した盛り土がミルフィーユ状の重層的な構造だったという根拠になるとし、時間差で何度も流れ下った土石流を誘発したと結論付けた。同様に発生原因を調べた県の検証委員会の見解を補足する内容だと位置付けた。

北村静岡大教授が推定した盛り土崩落の課程
北村静岡大教授が推定した盛り土崩落の課程


 分析したのは、逢初(あいぞめ)川上流の盛り土崩落現場西側の縁で県がボーリングした地質試料。土砂の粒がそろい、水を通しやすい層が4~19センチの厚さで4層確認された。
 北村教授のこれまでの調査によると、土石流起点付近には神奈川県内の複数箇所から性質の異なる土砂が運び込まれていた。北村教授は、今回の分析結果も踏まえると、盛り土として積み上げられた性質の異なる土砂の間に水を通す隙間ができ、土石流発生まで隙間は排水の役割を果たしていたと説明した。
 その上で、昨年7月の大雨では盛り土の下から地下水圧が上昇して一部の層がまず崩落。その崩落によって水を通す隙間が詰まって水圧が高まり、さらに別の層の崩落を引き起こし、時間差で何度も流下する土石流につながったと推定した。
 県検証委が8日に提示した報告書案については「盛り土が均一な土砂だと推定する検証委の考え方では、時間差の土石流は説明できない」と指摘し、盛り土の重層的な構造の解明を進める模擬実験やボーリングの追加実施を提案した。
 (社会部・大橋弘典)

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