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熱海土石流百条委 最終報告原案「最善策余地 十分あった」 市の対応を批判

 熱海市伊豆山の大規模土石流に関する市議会調査特別委員会(百条委員会)が、起点の盛り土を巡る市の対応について「最善の対応となるための手続きを行う余地は十分にあった」と批判し、法令を順守しない事業者に毅然(きぜん)と対応するよう求める最終報告書の原案をまとめたことが3日、関係者への取材で分かった。
 市は2007年、起点の旧土地所有者が提出した盛り土造成の届け出書に複数の空欄があったにもかかわらず受理。11年には図面が添付されていない変更届を受理した。ずさんな盛り土造成に対し、一度は措置命令を出すことを決めたが、旧所有者側が防災工事を始めたことを理由に見送った。結局、工事が未完のまま盛り土は崩落した。
 こうした経緯について、原案では「市が条例で定められた通りの事務を行っていなかった」とし、「技術基準に適合するまでの防災措置が執られたとは考えられない」と市の対応を問題視した。また、旧所有者が1ヘクタール超の開発面積を示す図面を提出した際、森林法に基づく開発許可権限のある県の対応が十分ではなかった可能性も指摘している。
 一方、盛り土造成から10年以上が経過し、証人や参考人の発言に多くの食い違いがあったため「事実関係を認定することは困難と言わざるを得ない」とした。現旧所有者や県、市の責任を追及する損害賠償請求訴訟や県警の捜査が行われていることを踏まえ、関係者の具体的な責任については言及していない。
 百条委は昨年3~8月、斉藤栄市長をはじめ、退職者を含む市や県の職員、現旧土地所有者ら延べ39人を参考人、証人として招致した。
 最終報告書は百条委で審議し、市議会2月定例会で議決した後、斉藤市長に提出する。

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