テーマ : 熱海土石流災害

自宅跡で女性の遺族慰霊「一つの区切り」 熱海土石流、最後の死亡確認

 熱海市伊豆山の大規模土石流で最後の行方不明者となり、1月に土砂仮置き場から腕の骨が見つかった女性=当時(80)=の葬儀が5日、市内で行われた。遺族は葬儀後、女性の遺骨や位牌(いはい)などを胸に抱いて警戒区域内の自宅跡を訪れ、女性の霊を慰めた。

女性の遺骨を前に手を合わせる遺族=5日午後、熱海市伊豆山
女性の遺骨を前に手を合わせる遺族=5日午後、熱海市伊豆山

 女性の遺骨は同日、荼毘(だび)に付された。1年8カ月の月日を経て、無言の帰宅をした。土石流に流された自宅の周りには、今も崩れた石垣やシートに覆われた被災家屋など痛ましい爪痕が残る。
 時折冷たい風が吹き付ける中、遺族は女性に花を手向け、静かに手を合わせた。長男(57)は「やっと家族と共に母を自宅に連れて帰ってくることができた。本当に『お帰りなさい』という気持ち。こういう形になってしまったが供養ができ、一つの区切りができた」と話した。母の行方が分からず不安の日々を送る中、「皆さまに大変心配いただき、家族を勇気づけていただいた」と、多くの関係者に感謝した。
 女性の骨は1月18日に熱海港芝生広場で県警が発見。DNA鑑定などを経て、市が2月10日、女性を災害死認定した。土石流の死者は関連死1人を含め28人になった。

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