テーマ : 熱海土石流災害

土石流起点周辺の安全性 熱海市長、市独自検証に消極姿勢

 2021年7月に熱海市伊豆山で発生した土石流災害の起点周辺の安全性について、斉藤栄市長は22日の市議会6月定例会の一般質問で、県が危険性は低いとの見解を示していることを踏まえ、「われわれとしてもその方向を受け入れていく」と述べ、市独自に安全性を検証することに消極的な姿勢を示した。田中秀宝氏(自民党・女性の会熱海梁山泊=りょうざんぱく=)への答弁。
 土石流の起点では、県が6月末までの完了を目指して行政代執行による不安定土砂の撤去を進めている。ただ、起点の隣接地には撤去対象外の盛り土がある。さらに起点の北東側には未完成の宅地があり、崩壊した擁壁や高さ10メートルを超す盛り土が残されている。市は9月1日に警戒区域を解除する方針だが、避難先から帰還することに不安を訴える被災者もいる。
 田中氏は「単に(起点の)土砂がなくなれば大丈夫というものではない。県に頼るのではなく、徹底的に安全性を検証するのが市の責務だ」と批判した。
 一方、警戒区域内の復旧復興事業を巡り、泉明寺みずほ氏(同)は、被災者と市の対話が不十分だと指摘した。被災者有志が行っているアンケートで、回答があった15件のうち8割が復興事業の合意形成が不適切と答えたとし、行政主導で決められた逢初(あいぞめ)川の拡幅や河川両岸への市道整備計画で「帰還を断念せざるを得ない人が出ている」と指摘した。
 これに対し、程谷浩成観光建設部長は「河川、道路の計画は安全に大きく関わるため基本的な方針は変えない。必要性を丁寧に説明する」と述べた。斉藤市長は「不安の解消に向け、これまで以上に皆さまとの対話に努める」と答えた。

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