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「県の関与不十分」複数 熱海土石流、市職員ヒアリング結果公表

 熱海市は26日、同市伊豆山の大規模土石流の起点となった盛り土の行政手続きに関わった市職員(退職者を含む)17人に行ったヒアリングの結果を公表した。盛り土を造成した不動産管理会社(神奈川県小田原市)の開発面積について、知事の許可が必要な1ヘクタールを超えていた可能性があったにもかかわらず県が積極的に関与しなかったとの意見が複数あり、行政間の連携不足が改めて浮き彫りになった。

熱海市職員に行ったヒアリングの結果を説明する斉藤栄市長=26日午前、市役所
熱海市職員に行ったヒアリングの結果を説明する斉藤栄市長=26日午前、市役所

 市は2007年、同社の盛り土造成計画を受理した直後、開発面積が1ヘクタールを超えている疑いがあると県に通報した。県は森林法の林地開発許可違反に当たるとして、すぐに同社に現状復旧などを指導した。
 ただ、同社は09年以降も1ヘクタール超の開発を継続していた可能性があったため、市は県に対して県土採取等規制条例よりも規制力が強い森林法での対応を度々提言した。ところが県は07年の対応とは異なり、当該地域の河川流下能力が不足していて林地開発対象にはできないとの見解を示し、市の意見を受け入れなかった。
 市職員はヒアリングで「県条例の規制力に限界を感じていた」と説明。いったんは県と森林法による規制が効果的との意見で一致したものの「(県は)結論を先送りしていた」などと回答した。同社は当初から大規模開発を想定していて「県条例で1ヘクタール未満の場合のみ権限を有する市が主体となり、行政上のコントロールをするのは無理があった」との声もあった。
 斉藤栄市長は同日の定例記者会見で「市だけでなく県も対応すべき事案だった。職員は条例の制約の中で最大限努力した」との認識を示した。一連の対応に関する見解については「現時点での論評は控える」と述べ、県の行政対応検証委員会(委員長・青島伸雄弁護士)の取りまとめを踏まえ、改めて発表するとした。ヒアリング結果は市ホームページで公表している。
 (熱海支局・豊竹喬)

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