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砂防法対応は「失敗」 川勝知事、不作為「該当せず」 本紙に見解【熱海土石流】

 熱海市伊豆山で2021年に盛り土が崩落して28人が死亡した大規模土石流の行政対応に関し、川勝平太知事は30日までに、内部検証(再検証)した砂防法などの対応について「失敗と捉えている」とした上で、法的責任を問われる不作為には当たらないとする見解を明らかにした。効力が強い砂防法の盛り土規制を適用しなかった静岡県の対応については複数の専門家が不作為の可能性を指摘し、県議会が「失敗で片付けるには大きすぎる被害だ」として再検証を求めていた。
 川勝知事は10日の定例記者会見で法的責任に関する質問に論点をずらして回答せず、本紙が県に回答を要請したところ、事務方を通じてコメントを出した。
 最悪の事態を想定しなかったことや関係機関との連携不足を「行政の失敗」と表現した上で「失敗イコール法的瑕疵(かし)や不作為ではない」として法的責任を否定した。ただ、最悪の事態を想定しなかったことなどが、なぜ瑕疵や不作為に該当しないのかについては説明しなかった。
 県は内部検証で、崩落した盛り土の届け出時や造成初期を砂防法の観点から検証せず、盛り土が造成された09年時点で「(規制を)検討する余地もあった」と結論付けた。ただ、業者が07年に届け出た盛り土の土砂量は砂防ダムの容量の9倍で、県熱海土木事務所は07年時点でその情報を把握していた。県議会は「規制できる部分は規制する必要があったのではないか」と問題提起していた。
 (社会部・大橋弘典)

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