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熱海土石流 遺族「行政 責務全うせず」 県と市、争う姿勢 静岡地裁沼津支部 損賠訴訟初弁論

 熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、起点となった土地で違法な盛り土造成を黙認したなどとして、遺族と被災者が静岡県と熱海市に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)であり、県と市は請求棄却を求めて争う姿勢を示した。

熱海市伊豆山の土石流災害を巡る損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論に出廷した遺族ら=14日午前、静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の土石流災害を巡る損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論に出廷した遺族ら=14日午前、静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の土石流災害を巡る損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論に出廷した県側の関係者=14日午前、静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の土石流災害を巡る損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論に出廷した県側の関係者=14日午前、静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の土石流災害を巡る損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論に出廷した遺族ら=14日午前、静岡地裁沼津支部
熱海市伊豆山の土石流災害を巡る損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論に出廷した県側の関係者=14日午前、静岡地裁沼津支部

 原告の「被害者の会」会長で、母陽子さん=当時(77)=を亡くした瀬下雄史さん(54)は意見陳述で、不正に盛り土を造成し、長年放置した現旧土地所有者の悪質性を指摘し、「管理責任者として不適切な対応を続けた行政も許せない」と強調。被害の結果責任に触れない姿勢に怒りをにじませ「住民の生命財産を守る責務を全うする努力をしたのか。到底そうは思えない」と訴えた。
 遺族らは訴状で、市が旧土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)が盛り土造成を届け出た際、災害防止策などの項目が空欄の書類を受理し、盛り土の危険性を認識しながら県条例に基づく措置命令を見送ったのは違法だと主張。発災当日に避難指示を発令する義務も怠ったと指摘している。
 県も盛り土の危険性を認識しつつ市に行政対応の是正を求めなかったほか、同社が1ヘクタール超の開発を示す図面を提出していたのに森林法を適用しなかったのは違法と訴えている。
 市は答弁書で、再三にわたり同社に行政指導を行ったが、当時の県条例は抑止力が不十分だったと主張。土砂災害警戒情報が出た場合、避難指示を発令するとしている内閣府のガイドラインについては「必ずしも縛られるものではない」と説明している。県は「地方公共団体の自主性に配慮するとの原則に照らし、市に対応させたのは妥当」と主張。市との協議に基づき森林法の林地開発許可違反の立証が困難と判断したなどとしている。
 遺族らは、現旧所有者らに計約58億円の損害賠償を求める訴訟も起こしていて、同支部は両訴訟を併合審理する。

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