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逢初川上流の「砂防規制」拡大見送り、20年放置 静岡県が再検証の方針【熱海土石流】

 熱海市伊豆山の大規模土石流で被害を拡大させた盛り土を巡り、難波喬司副知事は17日、県行政対応検証委員会(委員長・青島伸雄弁護士)の最終報告を受けた記者会見で、土石流危険渓流の逢初(あいぞめ)川上流域で盛り土の規制区域「砂防指定地」の拡大を見送り、約20年間放置した問題について、関係職員のヒアリングを含めて再検証する方針を明らかにした。

土石流危険渓流に造成され、崩落した盛り土(上)と土砂を止められなかった砂防ダム(下)=2021年7月16日、熱海市伊豆山の逢初川上流(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
土石流危険渓流に造成され、崩落した盛り土(上)と土砂を止められなかった砂防ダム(下)=2021年7月16日、熱海市伊豆山の逢初川上流(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 県検証委は最終報告で、森林法や県土採取等規制条例などに検証対象を重点化し、砂防指定地内の盛り土を規制できる砂防法に関しては関連文書を確認せず職員へのヒアリングをしないまま、国と県で定めた規制区域を「妥当」と結論付けた。市は「検証のバランスを欠いている」と反発している。
 難波副知事は会見で、砂防ダム設置時の1999年に規制区域を上流域全体とせずダム付近に限定した国と県の対応は適切だったと強調した。その上で、指定後の範囲拡大や地権者の同意取得の在り方に関して「本当に危険性があれば同意に関係なく指定が必要な場所がある。指定問題については、しっかり検証していく必要がある」と述べた。
 上流域全体は、国が砂防指定地の指定基準に掲げる土石流危険渓流で、通達で繰り返し指定を促していた。難波副知事は「(危険渓流を指定範囲にするかは)県の裁量だ」としながらも「指定方法の解釈権は国にある。国と調整して県の考え方を整理する」と説明。「他の法令で対応できた。県としては大きな問題とは捉えていない」とも付け加えた。

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