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伊豆山港、アワビ漁復活へ海藻移植 県水技研と地元漁業者

 静岡県水産・海洋技術研究所伊豆分場と熱海市伊豆山の漁業者でつくる伊豆山漁業会は2日、同市の伊豆山港内で藻場造成のための海藻移植作業を行った。伊豆山近海では5年ほど前から、広範囲で海藻がなくなる「磯焼け」が深刻化し、特産のアワビなどの成育に影響を与えている。昨年7月の大規模土石流の打撃も受けている地元漁業者は「漁場が復活してほしい」と願った。

カジメの幼体が付いた石を海底に沈める漁師=熱海市の伊豆山港
カジメの幼体が付いた石を海底に沈める漁師=熱海市の伊豆山港

 同分場から運び込まれたカジメの幼体やアカモクの母藻が付いた計30個の石を、地元の漁師が港内の水深2~3メートルの海底に沈めた。
 カジメなどの海藻はアワビの主食になる。しかし近年は魚の食害や黒潮の大蛇行などの環境異変により藻場が激減し、アワビの漁獲量に直結した。かつては漁師が1日に20~30個ほど取ることができたが、最近は「1個取れるかどうか」(地元漁師)という。
 さらに昨年7月の大規模土石流で大量の土砂が海に流入し、辛うじて残っていた藻場も枯れた。同分場と伊豆山漁業会は、海藻の生育が比較的、回復傾向にある港内で海藻を育て、成長が確認できたら沖合に移植したいとしている。
 同会代表の松本早人さん(47)は「土石流からもうすぐ1年たつが、いまだに雨が降ると泥水が港に流れてくる」と現状を説明しつつ、「何とか藻場の再生が成功してほしい」と話した。

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