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熱海土石流 静岡県行政文書白黒化 開示時「職員6人で決定」

 熱海市伊豆山で盛り土が崩落して28人が死亡した大規模土石流を巡り、開発業者への対応などを記したカラーの県行政文書が白黒化され、写真などが判読できない状態で不適切に開示された問題で、県の内藤信一総務局長は5日の県議会総務委員会で、情報公開を担当する法務文書課(現法務課)の職員6人が文書を開示する際に打ち合わせしてカラー文書を白黒化する方針を決めたと説明した。
 川勝平太知事はこれまでの記者会見で「(法務文書課が元の文書について)カラーだと気が付かなかったそうだ」と答えていたが、県として説明内容を変えた形になった。総務局によると、元の行政文書がカラーだという認識は県内部で当初からあったという。
 上司からの指示があったのかという県議の質問に対し、内藤局長は「6人ぐらいの職員の中の打ち合わせでそうなった」と述べた。ただ、終了後の取材では、上司の指示について全員にヒアリングしたわけではないことを明らかにした。
 川勝知事は5月29日の記者会見で「カラーの文書があるかどうか知らないまま、バーっとともかく一斉に(複写機で)流したらしいんですよ」「公文書が膨大で、カラーであるかどうかを確認しなかった」と述べていた。
 白黒化が隠蔽(いんぺい)に当たるかについては、内藤局長は「文書をカラーで差し替えたので隠蔽には該当しない」と答弁した。白黒化で判読できなくなった無許可開発の写真などは第三者による二つの検証委員会で検証されておらず、情報公開や印刷技術の複数の専門家は県の対応を「隠蔽」と批判している。

県、砂防法通知で釈明 「必要な範囲は指定」  県の杉本敏彦砂防課長は5日の県議会建設委員会で、熱海市伊豆山の大規模土石流を踏まえて今年3月に各土木事務所に送った砂防法の盛り土規制区域「砂防指定地」に関する通知について「(同法以外の規制区域があれば)指定しなくても構わないという趣旨ではなかった」と釈明し、必要な範囲は指定すべきとする見解を示した。
 通知は規制力の弱い森林法などを優先し、砂防法の規制区域の指定促進に消極的な内容。砂防ダム上流域が他法令の規制区域になっている場合は「一部流域のみの指定を妨げない」と記され、県内部からも問題視する声が上がっていた。
 杉本課長は現時点で通知を見直す考えは示さなかったものの、熱海土石流の内部検証の結果を尊重するとした。昨年1月にも同様の通知を土木事務所に送っていたことを明らかにし、土石流災害の防止をうたった砂防法の目的「治水上砂防」の考え方を明確にするためだったと説明した。

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