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防災白書 熱海土石流に重点 政府閣議決定「政策検討契機に」

 政府は10日、2022年版の防災白書を閣議決定した。21年度の主な災害で熱海市伊豆山の大規模土石流を中心に取り上げた。盛り土の法規制や災害時における安否不明者の氏名公表、避難の在り方など浮き彫りになった課題への政府の対応も重点的に記載。大規模災害から命を守る観点で、幅広い防災分野の政策的な検討が進む契機になったと位置付けた。
 7月3日の土石流発生後の官邸対策室設置から同日中の内閣府調査チームの県庁派遣や特定災害対策本部会議の開催、12日の菅義偉首相(当時)の視察、30日の支援策のとりまとめまで、一連の政府の動きを振り返った。
 起点部の盛り土により被害が甚大化したのを受け、全国約3万6千カ所の盛り土の総点検を行うとともに、盛り土災害の防止に向けた有識者会議の提言が規制法成立につながった経過を示した。
 熱海の事例を踏まえ、9月には地方自治体が災害時に氏名公表をする際の留意事項を国から周知したと解説。防災分野の個人情報の取り扱い指針を22年度中に策定するため、専門家が氏名公表の議論を進めている状況も盛り込んだ。内閣府担当者は「熱海の土石流では安否不明者の氏名公表に県がいち早く踏み切ったことで、捜索活動が円滑化された」と評価した。
 自治体による避難情報の出し方などの再検討では、住民一人一人の意識を向上させる啓発の重要性などが指摘されたとした。
 防災白書は災害対策基本法に基づき毎年、通常国会に報告する。1963年から作成が始まり、60回目。

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