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最下部の土砂「崩落しやすい性質」 静岡大教授ら調査【熱海土石流】

 静岡大とふじのくに地球環境史ミュージアムなどの研究グループは24日、熱海市伊豆山で発生した大規模土石流で崩落した盛り土の最下部に位置していた土砂の調査結果を公表した。県庁で記者会見した同大の北村晃寿教授(古生物学)は「水を通しやすく崩落しやすい性質だった」と指摘。最下部の土砂は大規模な崩落が起きる前に流れ始め、下流側の砂防ダムにたまった可能性があるという。

大規模土石流が発生した起点付近(県と北村晃寿教授提供の資料を基に作成)
大規模土石流が発生した起点付近(県と北村晃寿教授提供の資料を基に作成)

 研究グループは崩落した盛り土の最下部付近の試料を採取し、分析した。土砂を構成するのは10センチ前後の石を含む砂の層(含れき砂層)と丸みを帯びた石の層(亜円れき層)であることが判明した。北村教授によると、亜円れき層は沿岸由来で崩落しやすく、石と石の間を埋める砂も水を含みやすい。砂防ダムに堆積した土砂と同じ性質とみられる。
 県は大量の地下水が盛り土下部にたまり、水圧に耐えきれず噴き出す「パイピング現象」が発生して、盛り土が崩壊したと推定している。北村教授は「県の推定が盛り土構造の分析によって科学的に裏付けられた」と述べた。今後、亜円れき層の分布を調査する必要があるとしている。

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