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熱海土石流 市長個人への損賠請求 訴訟費用は公費負担せず 市議会一般質問

 熱海市伊豆山の大規模土石流の起点を含む土地の現所有者が斉藤栄市長に損害賠償を求めた訴訟について、同市の中田吉則経営企画部長は11日、「市長個人に対する訴訟であり、訴訟費用などは市として特段の対応はしない」との方針を明らかにした。市議会9月定例会で竹部隆氏(熱海成風会)の一般質問に答えた。
 現所有者は9月6日、土石流で土地の資産価値が失われたなどとして、斉藤市長に10万円の損害賠償を求めて静岡地裁沼津支部に提訴した。中田部長は、遺族らが市と県、現旧所有者らにそれぞれ損害賠償を求めた訴訟と市長の訴訟が併合される可能性に触れ、「市の顧問弁護士と協議しながら状況を注視する」と述べた。
 遺族らが市と県に計約64億円の損害賠償を求めた訴訟について、金井慎一郎副市長は「裁判所から支払いを仮に命じられた場合、財政調整基金を取り崩して対応するものと考える」と述べた。稲村千尋氏(同)への答弁。
 県は11日、土石流の起点付近に残る不安定土砂の撤去に向けた行政代執行に着手した。市は土砂の撤去完了などを条件に、来夏ごろに警戒区域の解除を目指している。区域内の住宅の劣化に対する支援策を求めた杉山利勝氏(同)に対し、斉藤市長は「(みなし仮設の)家賃支援継続などだけで被災者の不安が全て払拭されるとは思っていない。切実な思いを受け止め、どのような支援ができるか検討したい」と述べた。
 (熱海支局・豊竹喬)

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