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被災者「いつ戻れるのか」 熱海市、機構改革で復興目指す 熱海土石流1年9カ月

 熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から1年9カ月が経過した。新年度に入り、市は本格的な復旧復興を進めるための部署を始動させた。ただ、被災者からは「いつになったら本当に伊豆山に戻れるのか」「市と県は私たちに向き合ってほしい」と切実な声が聞かれた。

被災現場を眺めながら不安を語り合う被災者。復旧が進まないことに焦りは募る=3日午前、熱海市伊豆山
被災現場を眺めながら不安を語り合う被災者。復旧が進まないことに焦りは募る=3日午前、熱海市伊豆山
被災者の生活再建策の窓口となる被災者支援室=3日午後、熱海市総合福祉センター
被災者の生活再建策の窓口となる被災者支援室=3日午後、熱海市総合福祉センター
被災現場を眺めながら不安を語り合う被災者。復旧が進まないことに焦りは募る=3日午前、熱海市伊豆山
被災者の生活再建策の窓口となる被災者支援室=3日午後、熱海市総合福祉センター

 「復興なんてしなくていい。復旧して元の生活に戻ることが第一だ」。土石流で母親を亡くした男性(57)は語気を強めた。市は、立ち入り禁止になっている警戒区域を「夏の終わりごろ」に解除する予定だ。しかし女性宅をはじめ多くの住宅が流された場所の景色はなかなか変わらない。避難先からの帰還の日が近づいている実感がわかず、「先が見えない」と嘆いた。
 現場付近で、男性と一緒に黙とうをささげた小松こづ江さん(72)も自宅が半壊し、避難生活を続けている被災者の一人。「伊豆山に戻れない人だけでなく、ここで生活している人からも不安の声を聞いている。早く今まで通りの暮らしができるようにしてほしい」と訴えた。
 市は今月、被災者の生活再建支援の窓口になる「被災者支援室」を長寿介護課に、道路や宅地などの整備を進める「復興調整室」を都市整備課に、土石流に関する訴訟の事務を取り扱う「土地訟務管理室」をまちづくり課内にそれぞれ創設した。復興まちづくり計画や被災者支援策が具体化したことを受け、これまで複数にまたがっていた担当部署を再編し、施策を加速させたい考えだ。
 機構改革を通じて復旧復興を前に進めようとする市の姿勢に、自宅が全壊した太田かおりさん(57)は「形を変えるだけでは何も届かない。原点に返って住民が何を望んでいるのか、なぜ伊豆山に戻りたいと思っているかをしっかり理解してほしい」と話した。

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