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土石流被災地の「警戒区域」 9月1日解除予定 熱海市が方針

 熱海市伊豆山の大規模土石流の被災地に設けられている立ち入り禁止の「警戒区域」について、市は11日に市役所で開いた住民説明会で、同区域を9月1日に解除する方針を明らかにした。ただ、同日時点で避難先から区域内に帰還できる被災者は一部にとどまる見込み。被災者からは「大きな一歩ではあるが、先はまだ長い」と不安の声が聞かれた。

警戒区域の解除に向けた見通しを説明する斉藤栄市長=11日午後、熱海市役所
警戒区域の解除に向けた見通しを説明する斉藤栄市長=11日午後、熱海市役所

 市によると、避難生活を送っている住民は11日現在、132世帯、227人。市はこれまで、土石流の起点付近に残る不安定土砂の撤去と新砂防ダムの完成を条件に「夏の終わりごろ」に区域を解除する方針を示していたが、具体的な日程を示したのは初めて。
 土石流の起点付近では、県が5月末の完了を目標に不安定土砂の撤去を進めている。市は完了し次第、正式な解除日を公表する。
 警戒区域内には、土石流の被害を直接受けていなくても、避難中に屋根や壁が傷んだり、カビが増殖したりして修繕が必要な住宅もある。市は区域解除に先立ち、届け出制で5月中旬から建物の状況確認の立ち入りを認める。修繕作業は7月から可能になる予定。
 並行して、個別の状況に応じて応急仮設住宅での居住支援を継続するほか、恒久的な住宅への引っ越し費用を支給するなどの生活再建支援策を講じる。市は6月から申請受け付けを開始する予定で準備している。
 市によると、区域内に残る46棟のうち、9月1日時点でライフラインの復旧が見込まれるのは32棟。区域内に自宅がある中島秀人さん(54)は「応急仮設住宅に住み続けられても、自宅の劣化は進む。それを防ぐための手だてを講じてほしい」と求めた。
 説明会終了後、斉藤栄市長は取材に「被災世帯それぞれにどんな支援ができるか細かく相談に対応したい。言葉だけでなく、被災者に寄り添った対応をしていく」と話した。

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