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盛り土規制法 自治体用指針策定へ 国交省が検討会

 熱海市伊豆山の土石流災害を踏まえた盛り土規制法が20日に成立したことを受け、国土交通省は、実務を担う自治体用の指針策定に向けた有識者検討会を設置する方針を決めた。6月にも初会合を開き、規制区域の指定や造成を許可する際の基準について議論する。
 同法では、盛り土で住宅に被害を及ぼす可能性がある場所を都道府県や政令市、中核市が規制区域に指定し、区域内の造成を許可制にする。
 土石流の起点となった熱海市伊豆山の盛り土に関する公文書によると、盛り土造成を届け出た業者が、静岡県より規制の厳しい神奈川県から土砂を搬入する旨を市や県の担当者に複数回告げている。実際、盛り土の崩落現場からは神奈川県二宮町の指定ごみ袋が見つかっている。市町に権限がある静岡県の条例は罰則が軽く、抑止力に欠けていたため、関係者は「悪質業者に狙い撃ちされた」と指摘する。
 国交省は20日、法施行は来年5月ごろになるとの見通しを明らかにした。施行後5年以内に規制区域の指定完了を目指す。
 検討会は、区域指定の考え方や造成の可否を判断するための技術的基準、既存の盛り土の安全対策などがテーマ。議論を踏まえ、国交省は具体的な許可基準などを盛り込んだ政令改正を進めるほか、自治体向けの指針を策定する。
 法改正で自治体の権限が強化される一方、区域指定や、工事完了時の検査など業務負担の増大も指摘されている。是正措置命令を出す判断も委ねられており、自治体の取り組みが鍵となる。国交省は指針をベースに、円滑な運用を支援していきたい考えだ。

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