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熱海土石流 「復興麺」で被災地の姿発信 創業80年のコマツ屋製麺、工場再建しふるさと納税返礼品に出品

 熱海市伊豆山の大規模土石流で被災した創業80年以上の老舗「コマツ屋製麺」が、再建した工場で製造した商品を同市のふるさと納税の返礼品として出品している。発災からまもなく1年半。中島秀人社長(54)は「諦めずに頑張る被災地の姿を発信し、災害の風化を防ぎたい」と話し、地域再生に協力を呼びかけている。

ふるさと納税の返礼品として出品している商品を手にする中島秀人さん=26日、熱海市上多賀
ふるさと納税の返礼品として出品している商品を手にする中島秀人さん=26日、熱海市上多賀

 昨年7月3日、中島さんの自宅兼工場は大量の土砂が流れ込み、機械類や冷蔵庫が損壊した。建物は立ち入り禁止の警戒区域内にあり、事業再開のめどが立たない。それでも中島さんは「絶対に工場を畳みたくない」との思いで工場再建を決意。クラウドファンディングで募った資金を活用して同市上多賀に新工場を設け、今年7月に事業を再開した。
 市の復興計画検討委員会の委員を務め、常に被災者の思いを行政やメディアに訴え続けてきた中島さんは、新工場で「復興の旗印になるようなソウルフードを作りたい」と商品開発を続けてきた。こうした熱意に市も呼応し、中島さんに返礼品の出品を勧めた。
 返礼品には、市内の人気ラーメン店に納めている麺や県内産の小麦を使った特製麺など4種の生麺セット3箱と、同市の中華料理店「熱海美虎(みゆ)本店」と共同開発した「熱海復興麺」3食分の2種類を用意した。復興麺は2月以降に発送する予定だ。
 警戒区域の解除は来年8月ごろになる見込みで、被災者は今年も避難先で年を越す。中島さんは「つらい思いをしているのは自分たちだけではない。水害に見舞われた静岡市清水区など他の被災地とコラボレーションした商品も開発したい」と構想を語った。
 工場では年越し生そばの直売も31日まで行っている。問い合わせは同社<電0557(52)4101>へ。

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