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熱海土石流「市は責任負うべき」 市議会百条委の報告書可決

 熱海市議会は15日、同市伊豆山の大規模土石流に関する市議会特別委員会(百条委員会)の調査報告書案を全会一致で可決した。被害を拡大させた盛り土を巡る市の一連の対応は「最善ではなかった」と批判し、28人が犠牲になった重大な事実に対し、「市はしかるべき責任を負うべきだ」と総括した。

百条委の調査報告書を全会一致で可決した熱海市議会=15日午前、同市議会議場
百条委の調査報告書を全会一致で可決した熱海市議会=15日午前、同市議会議場

 報告書は、土石流起点の旧土地所有者である不動産管理会社(神奈川県小田原市)が提出した盛り土造成の届け出書に不備があるのに熱海市が受理した点や、同社に措置命令を出さなかった市の判断とその後の対応など8項目を問題点とし、参考人や証人の発言内容と市議の意見をまとめた。
 本会議で、調査結果を報告した稲村千尋委員長は、市が条例に定められた事務を行っておらず、「質やスピード感について、より最善の対応となるための手続きを行う余地が十分にあった」と指摘。「多くの尊い命と住民の財産を奪われた事実を重く受け止め、百条委の報告と司法判断を尊重し、しかるべき責任を負うべきだ」と強調した。
 ただ、市や県、現旧土地所有者らに対する損害賠償請求訴訟や県警の捜査が進行中であることを踏まえ、個別の具体的な責任については言及しなかった。傍聴に訪れた伊豆山の住民らが見守る中、斉藤栄市長は時折正面を見つめ、表情を変えずに報告に耳を傾けた。
 報告書の可決を受け、越村修議長は1年7カ月に及んだ百条委の調査終了を宣言した。越村議長と稲村委員長は同日午後、斉藤市長に報告書を手渡し、再発防止の徹底を求める。

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