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熱海土石流発生から2年1カ月 警戒区域解除前最後の黙とう 被災者「元のまちに」「まだ不安」

 熱海市伊豆山の大規模土石流は3日、発生から2年1カ月が経過した。土砂が流れ下った逢初(あいぞめ)川沿いに遺族や被災者が集まり、犠牲者に黙とうをささげた。原則立ち入り禁止の「警戒区域」を市が9月1日に解除するのを前に、被災者は「元のまちの姿を取り戻したい」「まだ不安、危険だ」などと複雑な胸中を明かした。

土石流の被災地を見下ろす高台で犠牲者に黙とうをささげる遺族や被災者=3日午前、熱海市伊豆山
土石流の被災地を見下ろす高台で犠牲者に黙とうをささげる遺族や被災者=3日午前、熱海市伊豆山

 月命日の黙とうは発災2カ月後の2021年9月に始まり、24回目。警戒区域を見下ろす高台を定位置に続けてきた。今回も遺族と被災者ら15人が土石流の発生時刻とされる午前10時28分に合掌した。警戒区域の解除に伴い、一部の被災者は避難先から帰還できることから、この高台での黙とうは最後になった。
 避難生活を送るのは7月末時点で120世帯212人。警戒区域内には46棟が土石流に流されず残っているが、このうち9月までにライフラインが復旧するのは32棟にとどまる。河川拡幅や市道整備に必要な用地買収に加え、宅地復旧を巡る議論はこれからだ。
 自宅が全壊し、避難先から伊豆山への帰還を目指している太田かおりさん(57)は黙とう後、「2年前から変わっていない景色を前に手を合わせると、むなしさを感じる。頑張らないと伊豆山がなくなってしまう。諦めてはいけない」と前を向いた。
 自宅が半壊した小松こづ江さん(73)は、9月1日時点でライフラインの復旧が見込まれるものの、道路整備と擁壁の修繕が進まず帰還のめどが立っていない。太田さんと黙とうを行った後、「まだまだ帰れる状況にない。復旧復興をしっかり市にやってもらいたい」と語気を強めた。

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