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熱海土石流発生2年 全容解明、復興進まず 遺族「真実知りたい」知事に直言

 熱海市伊豆山で盛り土が崩落し、災害関連死を含め28人が死亡した大規模土石流の発生から3日で2年がたった。伊豆山小で追悼式が行われたほか、土石流発生時刻とされる午前10時28分に合わせて遺族や地元住民が土石流の流れ下った逢初(あいぞめ)川沿いで黙とうをささげた。未曽有の人災の復旧復興や全容解明は2年を経ても進んでおらず、遺族や被災者の行政に対する不信感は高まっている。

追悼式で献花する太田朋晃さん(中央)=3日午前、熱海市立伊豆山小
追悼式で献花する太田朋晃さん(中央)=3日午前、熱海市立伊豆山小
追悼式で弔辞を読み上げる斉藤栄熱海市長=3日午前、熱海市立伊豆山小
追悼式で弔辞を読み上げる斉藤栄熱海市長=3日午前、熱海市立伊豆山小
黙とうを捧げる被災者=3日午前10時28分、熱海市伊豆山
黙とうを捧げる被災者=3日午前10時28分、熱海市伊豆山
追悼式で献花する太田朋晃さん(中央)=3日午前、熱海市立伊豆山小
追悼式で弔辞を読み上げる斉藤栄熱海市長=3日午前、熱海市立伊豆山小
黙とうを捧げる被災者=3日午前10時28分、熱海市伊豆山

 市主催の追悼式には13世帯28人の遺族をはじめ斉藤栄市長や川勝平太知事ら関係者約70人が参列し、献花して犠牲者を悼んだ。斉藤市長は「被災者と対話を重ね、みなさんが抱えるさまざまな不安の解消に努める」と述べ、早期の復旧復興に力を入れる考えを示した。川勝知事は「いたましい災害を二度と起こさないように県を挙げて命を守る安全な地域づくりを推進していく」とし、上流域の盛り土のうち行政代執行で計画した土砂の撤去が完了したことにも触れた。
 ただ、参列した遺族からは行政への要望が相次いだ。最後の行方不明者となり今年2月に死亡が確認された女性=当時(80)=の長男朋晃さん(57)は式典に初めて出席。式典後に会場を出ようとした川勝知事に「母がなぜ亡くならなければならなかったのか真実を知りたい。真実が分かった上で安全で住める場所に復旧してほしい」と直言した。斉藤市長には直接の対話を求める要望書を手渡した。
 報道陣の取材には「今の状況は亡くなった人が安らかに眠れない。二度と同じような悲劇が起こらないように信念を曲げず行政に訴えていきたい」と力強く語った。
 土石流は2021年7月3日に発生。上流域に造成された盛り土が大雨で崩れ、大量の土砂が下流域の住宅を巻き込んで流れ下った。
 市は原則立ち入り禁止としている警戒区域を今年9月1日に解除する予定だが、被災者の住宅再建など復旧復興は進んでいない。盛り土崩落の原因を究明する行政の検証は徹底されず、業者や行政はいずれも法的責任を認めていない。遺族や被災者は現旧土地所有者や行政などを相手取り損害賠償請求訴訟を起こしていて、県警は業務上過失致死容疑などで捜査を続けている。

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