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熱海市 法的責任改めて否定 盛り土対応反省も 土石流百条委の報告書 市長に提出

 28人が死亡した熱海市伊豆山の大規模土石流に関し、同市議会は15日、「市長と行政当局はしかるべき責任を負うべきだ」とする市議会調査特別委員会(百条委員会)の調査報告書を斉藤栄市長に提出した。盛り土を巡る行政対応の不備を指摘し、再発防止の徹底を求めた議会側の申し入れに対し、斉藤市長は「改善すべき点は改善する」としつつ、「法的責任があるとまでは言えない」と従来の主張を繰り返した。

斉藤栄市長(右)に百条委員会の調査報告書を手渡す越村修市議会議長(中央)と稲村千尋委員長=15日午後、熱海市役所
斉藤栄市長(右)に百条委員会の調査報告書を手渡す越村修市議会議長(中央)と稲村千尋委員長=15日午後、熱海市役所

 市は昨年11月に公表した行政対応に関する総括でも、同様の見解を示している。百条委が指摘した「責任」の在り方について、斉藤市長は「被災者の生活再建と復旧復興を進めることが行政の責任だと思う。法的責任は司法の場で明らかになる」と繰り返した。
 百条委は報告書で、旧土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)が提出した盛り土造成の届け出書に不備があるのに市が受理した点などについて「条例通りの事務を行っていなかった」と批判。法令を守らない業者に毅然(きぜん)と対応するよう職員の能力向上やマニュアル整備を求めた。
 越村修議長とともに、斉藤市長に報告書を提出した百条委の稲村千尋委員長は取材に、「盛り土の危険性を市も県も認識していたのに十分な対応をせず、住民にも周知しなかった」と行政の問題点を指摘した。伊豆山で盛り土が造成されていた当時、同市上多賀でも同じ業者がずさんな盛り土を造成し、土砂流出を起こしていたことを「市長も職員も知っていたのに(伊豆山の対応に)何も生かされなかった」と悔しさをにじませた。
 百条委は昨年3~8月、斉藤市長や退職者を含む市、県職員、現旧土地所有者ら延べ39人を参考人、証人として招致した。調査報告書は市議会ホームページで公表している。

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