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熱海土石流 静岡県検証の問題指摘 専門家有志、書籍出版へ

 熱海土石流の発生原因を巡り、専門家有志が3月下旬、静岡県による技術面の検証の問題点を取り上げた書籍「熱海土石流の真実静岡県調査報告書の問題点」(白順社)を出版することになった。流域変更(他流域からの表流水の流入)の影響を否定した県の検証を問題視し土石流の引き金になった盛り土崩落の真相に迫った。

出版に向けて編集作業を進める塩坂邦雄さん(右)と清水浩さん=3月上旬、静岡市葵区
出版に向けて編集作業を進める塩坂邦雄さん(右)と清水浩さん=3月上旬、静岡市葵区

 執筆するのは、県議会の検証作業でも参考人として証言した地質専門家の塩坂邦雄さんと土木設計エンジニアの清水浩さん。県は地盤工学などの学者と副知事(当時)による「発生原因調査検証委員会」を設置。盛り土内部に他流域から地下水が流入したとする報告書をまとめたが、書籍では土石流発生直後の現地調査を踏まえ、科学的な視点で表流水の影響を指摘した。
 隣接する鳴沢川流域から盛り土付近に流れ込む水の痕跡を撮影した写真も掲載する。塩坂さんは「逢初川流域に降った雨の水量だけでは数波にわたる土石流は説明できない。被害者は発生原因の真実を知りたい」と強調する。清水さんは、根拠のない県報告書の記載を具体的に示した上で「報告書は『面』ではなく『点』の検証に過ぎない。引き続き事実確認を進めていく必要がある」としている。

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