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セブン&アイHD イトーヨーカ堂 上場へ スーパー事業を分離 コンビニに経営資源集中

 セブン&アイ・ホールディングスが、子会社のスーパー大手イトーヨーカ堂を中核とするスーパー事業について株式を上場させる方針を固めたことが9日、関係者への取材で分かった。祖業のスーパー事業を分離し、主力のコンビニ事業に経営資源を集中する。イトーヨーカ堂の業績は不振が続いていたが、合理化で再建への方向性が見えたとして上場を目指す。

セブン&アイ・ホールディングスの新たな事業方針
セブン&アイ・ホールディングスの新たな事業方針


 10日の決算会見でセブン&アイの井阪隆一社長が表明する見通し。同社のスーパー事業の立て直しは最終局面を迎えた。上場に数年はかかる見込みで、上場後もセブン&アイは一定の株式を保有し、協力関係を継続するとみられる。
 東北地方を地盤とするスーパー、ヨークベニマルについては、イトーヨーカ堂と経営統合するなどの選択肢があり、今後検討を進める。
 セブン&アイは、国内のコンビニの出店を再加速し、海外では企業買収などで新たな地域に進出する成長戦略を掲げている。スーパー事業の上場に伴う株式売却で得た資金は、これらの投資に活用されそうだ。
 食品や日用品、衣料品まで取りそろえる総合スーパーのイトーヨーカ堂は、専門店やディスカウントストア、インターネット通販などに押され、純損益が2023年2月期まで3年連続で赤字に陥った。19年以降、人員削減や店舗の閉鎖に着手し、北海道や東北、信越地方からの撤退を今年2月に打ち出した。昨年3月には衣料品事業からの撤退も発表した。
 物言う株主の米投資ファンド、バリューアクト・キャピタルは昨年、セブン&アイに対し、コンビニのセブン-イレブンとそれ以外の事業を完全に分離するよう要求。好調なコンビニ事業に注力することで、企業価値が上がるとみたためだ。
 セブン&アイは傘下の百貨店、そごう・西武を別の米投資ファンドに昨年9月に売却した。イトーヨーカ堂の分離、上場も検討を進めていた。

 イトーヨーカ堂 セブン&アイ・ホールディングス傘下で総合スーパー「イトーヨーカドー」を展開する。1920年に東京・浅草に開業した洋品店「羊華堂」が源流。2023年9月に食品スーパーのヨークと合併した。店舗数は4月時点で227店舗。23年2月期の売上高は6542億円、純損益は152億円の赤字だった。「アリオ」や「グランツリー」の名称で商業施設も運営している。

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