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半導体材料 国内増強加速 技術で先行、供給安定化へ

 信越化学工業は9日、先端半導体の材料として欠かせない「フォトレジスト」の新工場を群馬県伊勢崎市に建設すると正式発表した。三井化学も山口県などの工場で半導体製造に必要な保護膜の量産を検討。経済安全保障の観点から各国が半導体拠点の強化や誘致を急ぐ中、日本では技術力で先行する素材分野で供給網の安定化を目指す動きが加速している。

半導体材料の主要企業の生産計画
半導体材料の主要企業の生産計画

 信越化学は伊勢崎市に約15万平方メートルの事業用地を取得。フォトレジストなど半導体の回路形成に使う材料を生産する。段階的に投資し、第1段階では2026年の完成に向け、約830億円を見込む。
 信越化学はフォトレジストを含む半導体の回路形成に使う材料の生産拠点として既に国内と台湾に計3拠点を有するが、新工場を半導体材料の新たな戦略拠点に位置づけ、将来的には研究開発も手がける構想だ。
 富士経済によると、27年の半導体材料の世界市場は586億ドル(約8兆9千億円)で、22年に比べて約14%拡大する見込み。国内の化学大手は生産力強化に加え、製品の高性能化を急ぐ。
 三井化学は広島県と山口県にまたがる「岩国大竹工場」で、半導体の原版「フォトマスク」を傷やほこりから保護する膜材料の増産を検討する。オランダの半導体製造装置大手ASML製の次世代半導体向け露光装置にも対応する。25~26年の量産を目指す。
 台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県進出を契機とするのは三菱ケミカルグループで、「フォトレジスト」用の素材を強化する。九州事業所(北九州市)を軸に新工場を検討中だ。旭化成は富士市に工場を新設し、半導体チップなどの表面を保護する材料の生産能力を倍増させる。AGCは次世代半導体の回路形成の原版に使う材料を増産する。福島県の工場増強で、25年の生産能力を23年4月時点から3割増やす計画だ。

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