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米企業の宇宙機、月に着陸 民間で世界初 経済活動拡大へ

 【ワシントン共同】米宇宙企業インテュイティブ・マシンズは22日、無人の月着陸船「ノバC」が月に着陸したと発表した。民間企業では初で、米宇宙機の月面着陸は1972年12月のアポロ17号以来、約51年ぶり。政府が担ってきた月探査に企業が参画し、物資輸送や研究、インフラ整備など経済活動を広げていく一歩となる。

月周回軌道に入った米インテュイティブ・マシンズの月着陸船ノバC。機体搭載のカメラで撮影した(同社提供・共同)
月周回軌道に入った米インテュイティブ・マシンズの月着陸船ノバC。機体搭載のカメラで撮影した(同社提供・共同)

 米航空宇宙局(NASA)のネルソン局長は「一世一代の着陸を成功させた」と祝った。同社によると、機体は月面で直立しており、データ送信の開始も確認できた。
 着陸船はNASAの観測機器などを積み、フロリダ州を出て約1週間かけ到着した。目的地の南極周辺には米国主導の探査計画「アルテミス計画」で2026年に有人着陸する際の候補地がある。中国も科学探査を目指しており、米中競合の場となりそうだ。
 月面着陸に成功した国は5カ国。米中と旧ソ連、インドに続き、日本が今年1月、小型探査機「SLIM(スリム)」で成功した。いずれも政府のプロジェクトだった。
 地球の6分の1とはいえ直径数百メートルの小惑星に比べ格段に重力の大きい月は、減速し軟着陸するのが難しい。昨年はロシア国営企業の「ルナ25号」が月面に衝突した。民間では19年にイスラエルの団体が失敗。日本のベンチャーispace(アイスペース)も昨年失敗し、再挑戦を目指している。
 NASAは宇宙産業の育成を通じて技術革新と市場拡大を促し、将来は自身が安価なサービスを利用する一顧客になることを目指している。今回は機器輸送サービスを購入し、失敗のリスクを受け入れながら着陸船の開発や運用を任せた。

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