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大自在(2月22日)自動運転車

 運転席に人はいないがハンドルは左右に回った。急加速や急ブレーキはなく、危険性は感じない。出張先の米国・サンフランシスコで先月、自動運転タクシーに乗る経験に恵まれた。
 米国に駐在する同僚社員の計らいだった。スマートフォンのアプリで配車を予約。市内中心部で待っていると、目の前に無人の車が止まった。ボディー前部左右や屋根にはいくつものセンサーやカメラ。スマホの操作でドアロックを解除して乗り込むと、滑らかに走り出した。
 設定した目的地までの所要時間が映し出されたモニターに加え、車両周辺を行き交う歩行者、車両を察知していることを示す画像も確認できた。片側2車線の道路で途中、路線バスが停留所から走り出して近づいてきた局面では加速して前に出る「判断」も下した。
 営業運行が許可されたのは昨年8月だという。他都市でも試験走行を繰り返し、ネット上では、AI(人工知能)を活用した衝突回避のためのシミュレーションで、人間による運転よりも事故発生率は低いとする結果も示されていた。 
 今月初旬の本紙に「自動運転バス 県内実証実験相次ぐ」との記事があった。現状は運転手が乗り込み特定の条件で手放し運転可能な「レベル2」と米国に比べれば歩みは遅いが、全国的には先行しているという。
 残業規制強化で運転手不足が深刻化する「2024年問題」が叫ばれ、高齢化や過疎化の進展が移動手段の確保も困難にしている。人命を守る安全性はもちろん、社会問題を解決するためにもテクノロジーの活用は欠かせない。

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