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工事遅れや倒産増 懸念 建設など4業種 4月1日から残業規制

 働き方改革関連法に基づく時間外労働(残業)の上限規制が4月1日から建設業、自動車運転業、医師、鹿児島・沖縄両県での製糖業の4業種に導入される。長時間労働が常態化する業種で過労を防ぐ狙いだが、人手不足が深刻化し暮らしに影響を与える「2024年問題」として懸念も強まる。建設業では工事の遅れや中小事業者の倒産増が不安視され、景気の減速要因になりかねない。あらゆる産業が人手不足に直面し人材獲得競争は激化。賃上げをはじめとする処遇改善、デジタル技術導入による生産性向上が急務になっている。
 一般業種への残業規制は19年4月から順次始まっていた。4業種は仕事の特性や取引慣行から長時間労働が常態化。早期の導入が難しいとして5年間猶予されていた。
 建設業の上限規制は原則として年360時間、繁忙といった特別な事情で労使が合意する場合でも年720時間などとする内容だ。災害復旧工事には上限規制を適用しない仕組みがある。
 政府のまとめによると、建設業の平均賃金は全産業に比べ15・6%低い年間417万円。労働時間は3・5%長い2022時間となっている。
 災害の頻発化、公共インフラの更新、設備投資、再開発事業などで建設需要は高まっている。国土交通省が見込む23年度の建設投資額は70兆3200億円。47兆円台だった14年度から右肩上がりで増えている。
 ただ人手不足と資材費高騰は深刻で、東京商工リサーチによると建設事業者の倒産は23年に1693件(前年比41・8%増)と2年連続で増加した。残業規制が始まれば人材確保に人件費がかさむなどし「資金繰りが一段と厳しくなり、倒産や休廃業が増える可能性がある」と分析する。

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