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エコツーリズム推進法適用 静岡県、富士入山規制で研究に着手

 静岡県は2024年度、開山期間中の山頂付近の混雑が問題となる富士山での規制の手法として、エコツーリズム推進法の適用について調査、研究する。同法の運用によっては、指定した区域の立ち入り規制や手数料の徴収が可能となる。県条例を制定して入山規制を予定する山梨県に対し、静岡県側3ルート(富士宮、須走、御殿場)は国有地のため条例による規制が難しいとされ、県は同法の事例や課題を研究し、富士山での運用が適するか検討する。
 エコツーリズム推進法は自然環境への配慮と観光・地域振興、環境教育を基本理念にうたい、環境保全と観光活用の両立を図る。地元市町村が関係機関と構成する協議会を組織し、保全措置などを盛り込んだ全体構想を作成する。国の認定を受けると、指定した特定自然観光資源に対する利用者数の制限や、利用規制の事務経費を手数料として徴収できる。23年9月時点で鹿児島県屋久島など国内26地域の全体構想が認定されている。
 同法適用で、国有地である富士山の本県側ルートでも法的な拘束力をもった入山規制の導入や、現在は任意徴収している入山料(保全協力金)の代わりに手数料を義務化できる可能性があるという。
 県富士山世界遺産課によると、協議会の実施主体は市町となり、ルートのある3市町(富士宮、小山、御殿場)の理解や、条例制定などの事務的な負担が必要になる。同法適用が有効策となるか現時点では見通せてない。県は24年度一般会計当初予算案に100万円を計上し、先進地の事例収集や勉強会を計画する。
 富士山の規制を巡っては、山梨県が登山道の一定区間を道路法の適用から外し、条例で使用料2千円の徴収や、登山者数の総量規制などを打ち出している。一方、静岡県側ルートは同様の規制は難しい。県は今夏、新たな入山管理システムを構築し、登山者に夜間の入山自粛を求める予定だが、強制力はない。

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