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大自在(5月1日)助詞の使い分け

 「伝わる文章を書きたい」「おいしい新茶が飲みたい」。それぞれ「を」と「が」を置き換えても通じるが、ニュアンスが微妙に違う。コラム「時論」をスマホの静岡新聞DIGITAL[デジタル]で読もうとして並んだ見出しに目が止まった。
 省略された主語「私は」と述語(「書きたい」「飲みたい」)のどちらを強調するかで「を」「が」を使い分けるのか。「伝わる文章」「おいしい新茶」とシンプルなタイトルだったら考え込むこともなかった。
 〈「が」は主語を表すほか、対象語を受ける用法がある。「を」で安易に置き換えないほうがよい〉。新聞社系の著者が指南書で解説していた。日本語文法を意識しないまま、「アイ、マイ、ミー、マイン」「S(主語)V(動詞)O(目的語)」と英文法を教わった結果、目的語に「を」を使うくせがついたのかもしれない。
 「~へ行く」「~に行く」、「~になる」「~となる」など、いちいち迷っていたら思考が中断し原稿が進まない。助詞より内容だとしかられそうだが、言葉を選ぶことを面倒がらず、楽しみたいと思っている。
 きょうは八十八夜。唱歌の歌い出し「夏も近づく」の「も」は、「きょうもいい天気」「猿も木から落ちる」とは用法が違い、「宴もたけなわ」と同じく同類一般から取り立てたものを強調すると習った。
 助詞の使い方で大きな違いが生じることも。「○○がいい」「○○でいい」。○○に自分の名を入れられたときのことを想像すればいい。県知事選も近づく八十八夜。「この人がいい」なら投票率は上がろう。

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