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大自在(4月23日)ウオーキング

 二俣川、逆川、狩野川、瀬戸川-。ほぼ毎早朝、赴任先の近くを流れる河川の堤防を30年以上、歩いている。近年は「ウオーキング」としゃれた言葉も聞くが、眠気や前夜の酔い覚まし。無理せず歩数も気にせず、ただ歩いてきた。
 人類の祖先が初めて二足歩行をしたのは600万年ほど前とされる。それまでは、猿のように木登りや四足歩行などを組み合わせ、移動していたようだ。ただ、四足歩行のチーターは推定で時速110キロとも。二足では四つ足に比べ明らかにスピードでは劣る。
 「進化」の過程で、なぜ木から下りたヒトの祖先は、動物界の中でも異端ともいえる二足歩行となったのか。「エネルギーの消費を抑えるため」。諸説あるようだが、日本スポーツ協会の認定スポーツドクターでもある精神科医の保坂隆さんは、有力な仮説として著書でこう紹介している。
 直立歩行には高度な脳の働きが必要。結果的に初期の人類の脳が急激に発達しはじめたとも。化石を調べると、200万年ほど前から頭蓋骨のサイズが、大きくなってきたことが分かるという。
 では、歩けば歩くほど健康になれるのか。厚生労働省のホームページには「目標は1日の合計が1万歩」とある。だが保坂さんは「医師の私から見て高すぎる理想」と。
 東京都の老化制御チームは、こう推奨する。「2千歩でも寝たきり予防、5千歩のうち7分半だけ早歩きをすれば、要支援や要介護、認知症、心疾患、脳卒中を予防できる」。目覚まし代わりのウオーキングは、今後も無理をせずに―がいいようだ。

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