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大自在(5月3日)憲法記念日

 5月3日が「憲法記念日」の国は日本だけではない。ロシアに侵攻されたウクライナの西隣に位置するポーランドも国民の祝日に定めている。ただ、歴史はポーランドがはるかに古い。憲法記念日の起源は、「ピアノの詩人」ショパンが生まれる約20年前の1791年までさかのぼる。
 この年の5月3日、欧州では初めて、世界でも米国に続いて2番目の近代的な成文憲法が採択された。三権分立が明記され、農民の個人としての自由も保障した。
 だが、この憲法は極めて短命に終わる。というよりも、95年にロシア、プロイセン(現ドイツ)、オーストリアに分割され、国そのものが世界地図から消えた。ポーランドが独立するのは第1次大戦後の1918年。翌19年に5月3日を憲法記念日に制定した。
 ところが、記念日を長く祝うことはかなわなかった。第2次世界大戦でソ連とドイツに分割統治され、戦後に誕生した社会主義国ポーランドでは憲法記念日が廃止された。1989年に民主政権が発足し、改めて5月3日を憲法記念日に決めた。
 もちろん現行憲法は233年前の憲法とは異なる。それでも国民にとって5月3日が特別の日であることに変わりはない。駐日ポーランド大使館によると、先見性と革新性に満ちた内容で世界の多くの国が憲法の草案に当たり模範とした1791年憲法は、ポーランド人の誇りという。
 日本国憲法はきょうで施行から77年。100年後、200年後にも国民が誇れる憲法であるのか。こんな視点で改憲を議論してみてもいいのではないか。

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