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被災9000人 63億円滞納 東北3県 7市町 訴訟200件超 災害援護資金

 東日本大震災で被災した人の生活再建のため国や都道府県が拠出し市町村が貸し付けた「災害援護資金」について、岩手、宮城、福島3県で約9千人が約63億円の返済を滞納していることが10日、共同通信の調査で分かった。貸付対象者の約3割に上る。7市町が返済を求める訴訟を計227件起こしていることも判明。滞納しているのは低所得者や高齢者が多く、返済が被災者の負担となっている実態が浮かび上がった。11日で震災から13年。

返済を求める訴訟を起こした自治体
返済を求める訴訟を起こした自治体

 災害援護資金は、震災で家が壊れたり、世帯主が負傷したりした一定の所得未満の世帯に最大350万円を貸す制度。東日本大震災の場合、当初6年間は返済が猶予されるが、原則最長13年で返済しなければならず、今年は多くの人が期限を迎える。内閣府によると、借りた人の9割以上は返済が始まっている。
 調査は、貸し付けと回収の窓口となった3県の79市町村に1~2月、昨年末時点の状況を聞いた。
 結果によると約2万8千人に総額約498億円が貸し付けられ、うち約6500人が約125億円を完済した。分割返済などで定められた期日までに返済していないのは、約9千人で滞納額は約63億円。死亡や自己破産などで免除になった額も約11億円あった。
 滞納の理由を選択肢から複数回答で選ぶ設問では、「低収入」と答えた自治体は70に上り最も多かった。次いで「高齢化による収入減」(59自治体)、「返済意思がない」(47自治体)だった。「病気やけがによる収入減」(35自治体)のほか、「新型コロナウイルスの影響による収入減」や「物価高の影響」と答えた自治体もあった。

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