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静岡県の男女平等度 改善足取り鈍く 都道府県指数 「経済」依然低迷【国際女性デー2024】

 上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」は8日の国際女性デーに合わせ、各地域の男女平等度を政治、行政、教育、経済の4分野で分析した2024年の「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」を公表した。指標の変更などで単純比較はできないが、静岡は、前回47都道府県中最下位だった経済の指数が42位と依然低迷している。昨春の統一地方選を受け、政治は全都道府県で数値が上昇した。

ジェンダー・ギャップ指数 静岡
ジェンダー・ギャップ指数 静岡

 指数は「1」に近いほど平等。静岡は全4分野で数値に改善が見られたものの、指数が最も高い教育で0・567、最も低い政治では0・200と平等には遠い結果だった。
 経済の指数は0・415で、新たに指標となった就業率の男女差(0・7800、17位)やフルタイムの仕事に従事する割合の男女比(0・672、19位)が順位を押し上げた。他方、フルタイムの仕事に従事する男女の賃金格差は0・746で41位と格差が際立った。経済の首位は鳥取(0・452)だった。
 政治は、統一地方選を経て下田、熱海、松崎の3市町で「女性ゼロ議会」が解消し、県議会も女性議員を増やしたものの、前年と同じ16位にとどまった。首位は東京(0・352)で、女性首長が増えて数値を伸ばした。県議会で女性が2割を超えた香川や鹿児島は大きく順位を上げた。
 行政は0・260で32位。1位の鳥取(0・439)は、静岡では1割強にとどまる県管理職(教育委員会事務局を除く)の女性割合が2割超に及ぶ。教育の指数はやや改善したものの、順位は37位と前回並みで、指標のうち四年制大学進学率の男女差は0・849(41位)と前年より後退した。教育の1位は広島(0・680)だった。
 三浦教授は静岡の状況について「製造業が中心の産業構造の中、いかに女性の就労環境を整えるかが鍵」とした。また各指数の改善が小幅にとどまったことについて、「人口流出がより深刻な地域では、問題を放置すれば女性がいなくなるという危機感がある。変革の機運をどうつくるかが一番の課題ではないか」と指摘した。
 指数公表は3回目。内閣府などの統計から4分野の計30指標を選び、スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数に準じた手法で統計処理した。

 地域からジェンダー平等研究会 上智大の三浦まり教授(ジェンダー政治論)や竹内明香准教授(経済統計学)ら研究者などでつくる任意団体。都道府県版ジェンダー・ギャップ指数の算出、各地域から男女平等実現を目指すシンポジウムの開催などに取り組む。

 レーダーチャートの見方 都道府県版ジェンダー・ギャップ指数に基づき、政治、行政、教育、経済の4分野の男女平等度を多角形で表している。面積が大きくなるほど平等度が高く、全分野でバランス良く男女平等が進めば正方形に近づく。指数は各分野で1に近いほど平等を示すが、このグラフでは全都道府県で値が0.1~0.6台のため、中心を0、外側を0.7とした。

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