テーマ : 新聞一面掲載記事

大自在(4月9日)春の新聞週間

 「お茶の間」があった時代、新聞は朝の風景に欠かせないものだった。テーブルと椅子でトーストの朝食をとるようになってからも、新聞は日常にとけ込んでいた。
 シンガー・ソングライターさだまさしさんの初期作品に新婚家庭の朝を点描した「朝刊」(1975年)がある。「ねェまた巨人が負けたってさって/高田の背番号も知らないくせに」。
 この年ジャイアンツは球団史上初の最下位。後にさださんは巨人を負けさせてしまったことを悔やんだ(「時のほとりで」新潮文庫)。開いた新聞から一日と会話が始まるのも「今は昔」かもしれない。試合結果はスマホで迅速に知ることができ、そもそも、悪いニュースをわざわざ教えてくれなくていい。
 歌詞は続けて「ぼくは君に新聞通になってほしくない」。食通、情報通、政治通…、その事に通じた人を○○通と言うが、新聞通とはどんな人か。なぜ新聞通になってほしくないのか。紙面の字面だけで世の中が分かった気になるなということか。
 ならば新聞を読まない人はどうなのか。「新聞をヨム日」の4月6日から「春の新聞週間」が展開されている。特集紙面の「いきものがかり」水野良樹さんの言葉に背筋が伸びた。「生活の中に新聞があって、新聞が届くことをリズムにしている人たちがたくさんいる」。
 ネット社会が急速に進み、情報が瞬時に大量に行き交う。ただし玉石混交。その中で新聞を読む習慣の意味を考える週間にしてもらえれば。こんなダジャレを言うからオールドメディアなのだとおっしゃらず。

いい茶0

新聞一面掲載記事の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞