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大自在(2月27日)半導体

 このところ、半導体絡みのニュースが飛び交っている。日経平均株価が最高値を更新した背景の一つには人工知能(AI)ブームがあり、その引き金は米半導体エヌビディアの好決算だといわれる。日本でも半導体関連銘柄が相場上昇を主導した。
 ノート以外のパソコンは自ら組み立ててきたので、画像処理を担う基幹部品のグラフィックボード(ビデオカード)を通して以前からエヌビディア製品を使ってきた。中核となるGPU(画像処理装置)がエヌビディア製半導体だ。
 パソコンの頭脳は幅広い処理を行うCPU(中央演算処理装置)だが、画像処理のように特定の大量データを扱う場合はGPUが優れているという。そこでAIに結びつく。AIの精度を高めるためにはディープラーニング(深層学習)と呼ぶ機械学習が不可欠で、それには大量のデータ処理を伴う。
 英字とカタカナばかりになってしまったが、半導体は日常生活に欠かせなくなっている。電子機器はもちろん、乗用車やカメラ、給湯器まで半導体がないと生産が滞る。それは新型コロナウイルス流行時に供給不足という形で明らかになった。
 半導体は、ロジック、メモリー、パワーなどと用途に応じて種類が異なる。CPUなどロジック半導体は昔から日本が不得意な分野だった。国策で熊本県に誘致した半導体工場では国内企業が製造できない微細な回路線幅のロジック半導体を生産する。
 半導体は安全保障が関わる戦略物資でもある。電子基板上に所狭しと並ぶ半導体には政治経済の現実が投影されている。

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