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大自在(4月14日)ジャッキー・ロビンソン・デー

 成功させるのが難しい野球のホームスチール(本盗)。鮮やかに決まれば、チームには得点だけでなく勇気も与えるだろう。
 黒人初の米大リーガー、故ジャッキー・ロビンソンさんはドジャースで本盗を20回決めた。大リーグ公式X(旧ツイッター)で紹介されていた。投稿された動画は、ヤンキースと対戦した1955年のワールドシリーズ第1戦。
 その試合は敗れたが、ロビンソンさんの本盗はシリーズの流れに影響したようだ。「チーム全体が見違えるようなファイトを見せ始めた」と自伝につづる。ドジャースは、4勝3敗で初の世界一になった。
 47年に大リーグ入りした俊足好打の背番号42。不条理な人種差別を受けるなど白人至上主義だった当時の米社会に挑み、首位打者、MVPなど輝かしい活躍を見せた。
 伝記映画「42 世界を変えた男」に、こんな場面がある。観客から卑劣なやじを浴びるロビンソンさんの肩を抱いた白人のチームメートが言う。「全員42番を付ければ、違いは分からない」。今や背番号42は大リーグ全球団の永久欠番。初出場した4月15日は毎年全選手が42でプレーする「ジャッキー・ロビンソン・デー」となった。ドジャースの大谷翔平選手はエンゼルス時代の2022年、2本塁打した。
 大谷選手の口座から1600万ドル(約24億5千万円)以上を不正送金したとして、元通訳が訴追された。信頼していた人の裏切りにも、大谷選手は何事もなかったように試合で快音を響かせる。ロビンソンさんに通じる困難に負けない精神力。驚くしかない。

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