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伊豆半島沖地震 5月に50年 慰霊祭区切りも 記憶継承に課題 活断層「調査必要」

 1974年に南伊豆町の石廊崎沖でマグニチュード(M)6・9の規模で発生し、同町で30人が犠牲となった伊豆半島沖地震から5月9日で50年を迎える。同町は能登半島地震の被災地と同様に半島先端部に位置し、活断層が動くなど共通性も指摘される。被災地区の自治会は毎年開いてきた慰霊祭を今年で一区切りとして終了し、被災者の高齢化も重なり記憶の継承も課題となっている。

激しい揺れで斜面が崩壊し、民家を押しつぶした伊豆半島沖地震の被災現場。中木地区では27人が土砂の犠牲となった=1974年、南伊豆町(町観光協会提供)
激しい揺れで斜面が崩壊し、民家を押しつぶした伊豆半島沖地震の被災現場。中木地区では27人が土砂の犠牲となった=1974年、南伊豆町(町観光協会提供)
伊豆半島沖地震の震源(M6.9)、石廊崎断層
伊豆半島沖地震の震源(M6.9)、石廊崎断層
激しい揺れで斜面が崩壊し、民家を押しつぶした伊豆半島沖地震の被災現場。中木地区では27人が土砂の犠牲となった=1974年、南伊豆町(町観光協会提供)
伊豆半島沖地震の震源(M6.9)、石廊崎断層

 気象庁によると、伊豆半島地震は午前8時33分、石廊崎沖の深さ9キロの浅い震源で発生した。南伊豆町沿岸部に延びる「石廊崎断層」がずれ動き、同町中木地区では城畑山が崩壊。高さ約100メートルから5万立方メートルの土砂がなだれ込んだとされ、27人が下敷きとなり亡くなった。当日は木曜で通勤・通学者が家を出た後だったため、人的被害は最小限にとどまったとされる。同町では58人が負傷し、家屋111棟が全壊した。
 伊豆半島沖地震は今年1月に起きた能登半島地震と同じく、沿岸部の活断層が動いて大きな被害をもたらした。政府の地震調査委員会によると、石廊崎断層は陸上で約8キロの長さが確認され、さらに西側は駿河湾、東側は相模灘へと延びている。全長は20キロ程度ともみられるが、海域部分は詳細不明だ。一般的に活断層の平均活動間隔は千年~1万年程度とされ、同調査委は2015年に発表した石廊崎断層の長期評価で「近い将来に地震が発生する可能性は極めて低い」としつつも「今後の調査が必要」との見解を示した。
 日本活断層学会会長を務める鈴木康弘名古屋大教授は、石廊崎断層など海域に連なる活断層について「海上保安庁や国土地理院などが連携し、調査を進めるべきだ」と指摘している。
 (下田支局・伊藤龍太、社会部・瀬畠義孝)

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