テーマ : 新聞一面掲載記事

大自在(3月31日)エンゲル係数

 新年度を迎えるが、またも値上げの春になりそうだ。帝国データバンクの主要食品メーカー195社調査によれば、4月の食品値上げは2806品目。人件費や物流費の増加、円安水準の長期化などの要因が拡大したという。オリーブ油やゴマ、カカオ豆など猛暑や干ばつの天候不順で不作だったものが多く、原材料高も再燃の兆しを見せる。
 「エンゲル係数」という指標がある。家計の消費支出に占める食費の割合を示すもので、総務省が家計調査で算出している。国民の暮らしの豊かさなど生活水準の目安の一つで、支出割合が高いほど家計にゆとりがない状況とされる。
 2023年は27・8%にまで上昇し、1983年以来40年ぶりの高水準となったという。食品値上げに所得の伸びが追い付いてない実態が浮かぶ。
 政府の統計が残る63年以降では、同年の38・7%から05年に22・9%にまで低下。戦後、国民生活が豊かになっていく様子が表れた。しかし、05年以降は上昇傾向に転じた。
 エンゲル係数と似た言葉で、「エンジェル係数」というのもあった。89~07年に家計と子育て費用調査を行った野村証券による造語。こちらは食費のみならず、教育費や衣食住など子どもに関する費用全てを対象にした。
 物価高は、子育て費用の増加も意味する。4月には菓子も73品目が値上げされる。その中には森永製菓の「チョコボール」も。発売から60年近いロングセラーの要因には、おもちゃの缶詰がもらえる金や銀の「エンゼル」もあるだろう。箱を開ける時のドキドキが懐かしい。

いい茶0

新聞一面掲載記事の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞