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大自在(5月7日)御飯の友

 昨年、久しぶりに会った熊本の知人から、お土産を頂いた。「御飯の友」。諸説あるようだが、ふりかけのルーツと言われる熊本伝統の味。
 いりこの粉末を主原料に昆布やのりなどの海藻、いりごま、卵。全体的に茶色なので地味だが、しょうゆの香ばしい匂いに食欲がそそられる。白米はもちろんのこと、納豆や冷ややっこにかけるのが筆者の好み。
 近所のスーパーで販売されているのを見たことがない。それもそのはず、売り上げの8割は九州が占めるそうだ。頂いたきっかけは、本紙に掲載された静岡新聞など各地方紙の連携による「新聞12社連合企画」。「発祥自慢」をテーマに展開した昨年、熊本日日新聞が紹介していた。知人に知らせたところ、買ってきてくれたという次第。
 「御飯の友」は1913年に誕生した。熊本の薬剤師だった故吉丸末吉さんが、小魚を骨ごと粉にしてご飯にかけて食べる方法を考案。栄養不足の人も多かった時代にカルシウムを補う「おいしい薬」を作ることが目的だった。製造販売を手がける会社の前身が34年に事業継承した。
 きのうは「ふりかけの日」だった。吉丸さんの誕生日が1887年5月6日ということで、熊本市に本部がある国際ふりかけ協議会が2015年に制定。タイやラオスなどの小中学校にふりかけを贈る支援事業など、協議会は国内外で普及活動を行う。
 お返しに焼津産のかつお節チップを使ったふりかけを知人に送った。気に入ってくれたようだ。先日、宅配便が届いた。「御飯の友」。催促したようで、申し訳ない。

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