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新潟水俣病賠償命じる 地裁、法救済外26人認定 原因企業に1億円

 2009年施行の水俣病特別措置法に基づく救済を受けられなかった住民らが新潟水俣病の症状を訴え、国と原因企業の旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に1人当たり880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、新潟地裁は18日、原告47人のうち26人の罹患(りかん)を認め、それぞれ400万円、総額1億400万円の賠償を同社に命じた。国の責任は認めず、賠償請求も退けた。

判決骨子
判決骨子

 同種訴訟は全国4地裁で起こされ、判決は3件目。大阪地裁は昨年9月、原告全員を水俣病と認め国などに賠償を命令。熊本地裁は今年3月、請求を退ける一方、一部原告の罹患を認めた。救済から取り残された人が患者と認められる判決が相次ぎ、国や企業は再考を迫られそうだ。
 判決理由で島村典男裁判長は、賠償が認められた26人はメチル水銀の暴露状況や症状から「罹患している高度の蓋然(がいぜん)性がある」とした。国側は発症から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を主張したが、判決は原告らが差別や偏見を恐れ提訴が困難だった事情を踏まえて除斥期間の適用を制限、賠償請求権はあると判断した。
 一方、原告側が罹患の根拠としてきた、地元民間医師による「共通診断書」を基に判断するのは困難などとして、26人以外の請求は退けた。原告側は控訴を検討していると明らかにした。
 国の責任については、工場から有機水銀が排出されたことや周辺住民の健康被害について「具体的に認識・予見できたとはいえず、国家賠償法上の違法があるとはいえない」とした。原告側は各地で同種工場の排水の水銀測定結果が出た1961年には国が規制権限を行使すべきだったと主張していた。
 新潟の原告は149人。特措法による救済策実施時に被害の可能性に気付かなかったり、差別を恐れ、2年間の申請期間中に名乗り出なかったりした人が多い。18日は先行して結審した47人についての判決。

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