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佐賀玄海 核ごみ請願採択 町議会特別委 原発立地で初

 原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた第1段階の文献調査を巡り、佐賀県玄海町議会は25日の原子力対策特別委員会で、受け入れを求める請願を賛成多数で採択した。請願が受理されてから3週間のスピード決着で、26日の本会議でも採択されるのは確実だ。玄海町には九州電力玄海原発があり、原発立地自治体で核のごみ調査に関する請願の採択は初めて。調査実施には自治体の応募が必要で、脇山伸太郎町長は「(5月の)大型連休以降に判断したい」と記者団に語った。

最終処分場のイメージ
最終処分場のイメージ
核のごみの文献調査請願を巡る動き
核のごみの文献調査請願を巡る動き
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核のごみの文献調査請願を巡る動き

 最終処分を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)が文献調査を手がけたのは、北海道の寿都町と神恵内村のみ。玄海町の動きは、全国的な議論に欠ける核のごみ問題に一石を投じる可能性がある。
 請願は旅館組合や飲食業組合など地元3団体がそれぞれ提出していた。全10町議が出席した25日の特別委は委員長を除く9人で3件の請願を一括採決し、賛成6人、反対3人だった。反対派が「処分場を受け入れても良いと覚悟があって手を挙げるべきだ」と批判した一方、賛成派は調査と誘致を分けて考えるべきだと反論した。
 請願の提出団体の一部には、調査受け入れによる国からの最大20億円の交付金を活用した経済振興を期待する声もある。
 1~3月に出された3件の請願を町議会が4月4日付で受理したことが15日に明らかになった。特別委での審議は17、25日の2回だった。
 特別委終了後、脇山町長は「(採択は)重く受け止めている」と述べた。賛成派の上田利治議長は「金がほしいわけではない」と強調した。反対派の前川和民町議は「町民がほとんど知らないうちに決めるのは非常に問題だ」と憤った。
 文献調査受け入れの請願は昨年9月に長崎県対馬市議会も採択した。その後に比田勝尚喜市長が応募を拒否した経緯がある。

 核のごみ 使用済み核燃料からプルトニウムを取り出した廃液をガラスで固めた高レベル放射性廃棄物。政府は、地下300メートルより深い岩盤に金属容器や粘土で覆って数万年以上埋める処分を計画する。最終処分場の選定に向けて文献、概要、精密調査の3段階で計20年程度かけて適性を調べる。ただ、処分場の候補地が長年決まらず、日本の原子力政策は「トイレなきマンション」とやゆされている。

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