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大自在(4月4日)打吹公園の桜

 遅れていた桜の開花情報も、4月に入ってようやく活発になってきた。遅咲きの桜といえば、大相撲の第53代横綱琴桜。度重なるけがを乗り越え、32歳で最高位に上り詰めた。
 出身は鳥取県倉吉市。勧誘に来た佐渡ケ嶽部屋の師匠が、同市の打吹[うつぶき]公園の桜に「こんなにきれいなのは見たことがない」と感激したという。しこ名の由来が「横綱」(武田葉月著、講談社)にある。打吹公園は日本さくらの会が選定する「さくら名所100選」。圧巻の4千本は山陰随一と言われる。
 園内に相撲広場もあり、琴桜の名を冠した相撲大会「桜ずもう」が毎年行われる。小学生の時、この大会で相撲を始めたのが落合哲也さん。十両の伯桜鵬。伯耆国の、打吹の桜である。入門から所要3場所、19歳で新入幕した昨年7月場所では優勝争いを演じた。
 2年連続高校横綱の伯桜鵬は、高校の全国大会成績が71勝3敗だったという。3敗を喫したうち1人が、1学年上の飛龍高の武井朔太郎さん。伊勢ケ浜部屋の熱海富士(熱海市出身)である。
 熱海富士は、伯桜鵬に刺激を受け、「自分も優勝を意識しないと駄目」と昨年後半の躍進につなげた。今年の春場所は24歳の尊富士が新入幕V、23歳の大の里も活躍。伯桜鵬が若手台頭の呼び水になったといえるだろう。
 元幕内力士の暴力問題で当面閉鎖されることになった宮城野部屋。伯桜鵬ら所属力士は今月、一門の伊勢ケ浜部屋に転籍。ライバル加入で熱海富士らの稽古は激しさを増すだろう。切磋琢磨[せっさたくま]し、共に長く咲き誇る力士へと成長してほしい。

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