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自民裏金事件39人処分 塩谷氏に離党勧告 弁明書で党執行部批判 

 自民党は4日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、関係議員ら39人の処分を決めた。安倍派の衆院側、参院側でトップだった塩谷立(衆院比例東海)、世耕弘成両氏を離党勧告とし、同派幹部を務めた下村博文、西村康稔両氏に党員資格停止1年、高木毅氏に同6カ月を科した。宮沢博行氏(衆院比例東海)は処分対象にならなかった。 離党勧告処分を受け、記者団の取材に答える塩谷立氏=4日午後、国会
 首相には衆院3補欠選挙(28日投開票)を見据えて裏金の政治責任問題に区切りを付ける思惑が透ける。だが、実態解明が不十分なままの処分に批判は根強い。
 首相は記者団に、安倍派に影響力を持つ森喜朗元首相に自ら電話で直接聞き取ったと明かし「裏金づくりへの関与は確認できなかった」と述べた。安倍派幹部の処分に関し「長年の慣行を是正することなく結果的に放置してきた幹部の責任を重く見た」と強調した。党処分は8段階で除名が最も重く、離党勧告、党員資格停止と続く。14日から効力が発生する。
 世耕氏は処分が出た直後に離党届を提出し、受理された。塩谷氏は記者団に、離党届を提出するかどうか後援会と相談して判断すると語った。
 安倍派は長年パーティー券販売ノルマの超過利益を議員に還流してきた。2022年4月にいったん中止を決めたが、8月に塩谷、下村、西村、世耕4氏が還流の扱いを協議。その後、復活させた。
 同派「5人組」の松野博一、萩生田光一両氏は8月の協議に参加していなかったことや派内の立場、不記載額を踏まえて党役職停止1年とした。
 二階派幹部では、事務総長経験者で不記載が1千万円以上の林幹雄、平沢勝栄両氏が党役職停止1年の処分となった。
 首相は事件について党総裁として謝罪。自身を処分対象としない理由を聞かれ、①個人として不記載がない②岸田派の不記載は事務的ミスで所属議員に資金が渡っていない-と説明した。二階氏は次期衆院選に立候補しないと既に表明した。
 派閥幹部以外では、不記載額2千万円以上の議員4人に党役職停止1年を、1千万円以上~2千万円未満の8人に同6カ月を科した。500万円以上~1千万円未満の議員ら17人には戒告を適用した。500万円未満の45人について茂木敏充幹事長は「早急に厳重注意を行いたい」と述べた。

塩谷氏「後援会と相談」  自民党安倍派の座長を務め、党から離党勧告処分を受けた塩谷立氏(衆院比例東海)は4日、国会内で記者団の取材に応じた。進退の言及は避け「まずは処分について(党から)説明を聞き、地元の後援会とも相談する必要がある」と述べた。党紀委員会に提出した弁明書では、党執行部を批判し「到底受け入れることはできない」とも訴えていて、今後は不服申し立てなどを検討するとみられる。
 処分は、党紀委員会終了後に党からメールで伝えられた。塩谷氏は「非常に厳重な処分で、残念だと思っている」とする一方、これまでの党の聴取や国会の政治倫理審査会(政倫審)の場で「知りうる限りの事実を、正直に話してきた」と主張。「国民に不信感を与えた責任は重く受け止めているが、党が事実関係をどう判断し、どういう基準で(他の議員との)処分の違いが出ているのかを聞きたい」と不満をにじませた。
 弁明書には、岸田文雄首相(党総裁)の「道義的・政治的責任も問われるべき」と書いた。その理由を問われると「今回、問題のあった派閥で同じような立場にいた人は、それぞれ同じように処分を受けることが公平だ」と指摘した。
 (東京支社・関本豪)

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