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万博、機運醸成に課題82% 参加企業調査、強い危機感

 2025年大阪・関西万博に参加・出展する民間企業・団体や協賛企業へのアンケートを共同通信が7日、まとめた。開幕まで1年となった現在の課題は、機運醸成との回答が82%に上り、国民の間での盛り上がりに欠ける状況へ強い危機感が浮き彫りとなった。2350億円に上振れした会場整備費を「妥当」としたのは42%にとどまった。日本国際博覧会協会(万博協会)の情報発信や対応への注文も多く、成功に向けた課題の多さを改めて示す結果となった。

2025年大阪・関西万博の会場のイメージ(日本国際博覧会協会提供)
2025年大阪・関西万博の会場のイメージ(日本国際博覧会協会提供)

 課題は複数回答で聞いた。「海外パビリオンの建設遅れ」が38%、「海外での万博開催の認知や呼び込み」が31%で続いた。「主催団体から柔軟なアイデアが少なくスピード感に乏しい」と指摘した企業もあった。
 万博に参加する意義については「持続可能な社会に向けた課題の解決」が69%で最多になった。「関西地域経済への貢献」が60%で続き、「新技術の国内外へのアピール」が40%となった。万博を通じて、技術力や未来への展望を伝え、地域振興につなげたいとの狙いが見えてくる。
 整備費を「高い」とした企業は18%、「足りない」は2%だった。1160億円を見込む運営費を含め、国民の理解を得るためにどうすべきかについては「展示内容に関する広報体制の強化」を挙げた企業が60%となった。「パビリオンなどの展示内容の充実」が51%、「国や大阪府・市からの詳しい説明」が42%となった。「理解は十分に得られている」と回答した企業はゼロだった。
 能登半島地震の復旧・復興が万博に影響を与えるかについては「ある」が4%、「ない」が16%で、69%の企業が「分からない」とした。
 調査は2月下旬から4月にかけ、民間パビリオンを出展する企業・団体や、テーマ館の協賛企業、誘致に取り組んだ関西経済連合会の会長・副会長企業67を対象に実施。45社・団体が回答した。

 2025年大阪・関西万博 国際博覧会条約に基づいて開催される登録博覧会。大阪市の人工島・夢洲で25年4月13日~10月13日の半年間にわたり「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、民間企業・団体や海外の国・地域、日本政府などがパビリオンを出展する。1周約2キロの木造の巨大環状屋根「リング」が特徴。来場者数は訪日外国人約350万人を含む約2820万人と想定している。登録博の日本開催は1970年の大阪、05年の愛知に続き、3回目。

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