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静岡県知事選 “草刈場”東部へ懸命アピール 大村氏、首長から支持/鈴木氏「西部重視」払拭へ

 9日の告示まで1週間を切った静岡県知事選(26日投開票)。各陣営は立候補予定者が不在で“草刈場”となっている県東部で攻勢を強める。元副知事の大村慎一氏(60)と、前浜松市長の鈴木康友氏(66)は、県東部の首長や企業、団体を次々に訪問し、支持拡大に懸命だ。大村氏へは、副知事時代から関係を築く県東部の市町長から支持表明が相次ぎ、市町との連携をアピール。鈴木氏は「東部はポテンシャルが高い」として必要な予算の確保を訴え、“西部重視”との懸念払拭に注力する。 photo03 大村慎一氏(左)の街頭演説でマイクを握り、支持を訴える仁科喜世志函南町長=4月29日、同町内   photo03 静岡県東部の労働組合関係者と懇談する鈴木康友氏(左)=4月23日、沼津市内
 「現職知事のもとで、東部は非常につらい思いをしてきた」。先月24日の伊豆市の定例記者会見。菊地豊市長は川勝平太知事への不満を漏らし、東部の市町長で初めて大村氏支持を公言した。翌日には込山正秀小山町長も「(鈴木氏では)西部に偏ることは目に見えている」と支持を明らかにした。その後、小野達也伊東市長が表明し、当初は明言を避けた豊岡武士三島市長、仁科喜世志函南町長も街頭演説で支持を訴えた。小長井義正富士市長も1日、取材に対し実質的に支持の姿勢を示した。大村氏が副知事時代、込山、小野、豊岡、仁科各氏は県議。首長と総務官僚という関係に変わっても接点は維持された。
 一方で頼重秀一沼津市長や斉藤栄熱海市長らは記者会見で態度を明らかにせず。別のある首長は「2人(大村、鈴木両氏)にお世話になった。はっきりできない」と吐露する。
 経済界も大村、鈴木両氏との複雑な人間関係から、支持には濃淡がみられる。「西部は別の県と思えるほど遠く感じる」(沼津市の不動産経営者)と鈴木氏との“距離感”から東部は大村氏との声がやや多いが、本業で西部の企業と取引する富士市の経営者からは「鈴木氏をやらないと後が怖い」との声も。沼津市の企業経営者は「市長を長く務めた鈴木氏は経験豊富。力量は大村氏と甲乙付けがたい」と評する。同市のある経済人は「大村氏に期待する声は大きいが、裏金問題で自民党への逆風は強い。積極的に動きづらい」とまちまちだ。
 鈴木氏は、大村氏支持の姿勢を示している首長も訪ね、東部への浸透に努める。労組関係者に加え、一時出馬を検討した立憲民主党の渡辺周衆院議員(比例東海)や、系列県議や市議の支援者らを精力的に回ったほか、富士市などで自動車関連の中小企業経営者を訪問した。
 共産党県委員長の森大介氏(55)も今後、東部で支持を訴える。政治団体「個人の尊厳党」代表の横山正文氏(56)も出馬表明した。

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