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能登地震、仮設入居始まる 輪島18戸、珠洲6日に40戸完成

 能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市で3日、被災地で初めて仮設住宅への入居が始まった。地震から1カ月が過ぎたものの、完成は同市の18戸のみ。静岡県は3月末までに県内で約1300戸の入居が可能になるとするが、応急的な住まい需要の9千戸には追い付いていない。建設に携わる人員や資材の不足などが要因とみられ、住民からは「数が全く足りない」と不満の声が上がる。

能登半島地震の被災者向けに建設された応急仮設住宅に入った大下澄子さん(左端)の部屋で蛇口からの水に触れるひ孫ら。歓声を上げていた=3日午後、石川県輪島市
能登半島地震の被災者向けに建設された応急仮設住宅に入った大下澄子さん(左端)の部屋で蛇口からの水に触れるひ孫ら。歓声を上げていた=3日午後、石川県輪島市

 市役所で鍵を受け取った後、部屋に入った大下澄子さん(76)は、トイレや水道の場所などを確認した。「避難所に比べて精神的に楽。ほっとした半面、今も避難所に残っている人が気の毒だ」。様子を見に来たひ孫の薬師蓮君(6)と鈴ちゃん(3)が「わあ、水が出る」と歓声を上げると、大下さんは「みんなで集まれる場所ができてうれしい」と目を細めた。
 輪島市ではこの日、観光施設「輪島キリコ会館」東側の広場にできた仮設住宅へ入居が始まった。55人が住む予定。同市では4千件以上の入居申請があるが、3日までに市内で着工したのは548戸。市は2007年の地震と比較し「今回は被害が広範囲で甚大なため、設置が間に合っていない」とし、民間用地などの確保を進める。
 珠洲市では3日までに456戸着工し、6日に40戸が初めて完成する予定。担当者は「建設業者や資材が十分ではない。現地に業者が寝泊まりできる施設もなく、さくさくと進めにくい」と漏らす。
 2日時点で、県内の住宅被害は4万9440棟。県は3月末までに仮設住宅の約3千戸着工を予定し、賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」と公営住宅で住まい確保を急ぐ。

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